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クリーニング店におけるリサイクルの取組みと 消費者へのお願い

2022年4月1日に施行された「プラスチック資源循環促進法」は、プラスチック廃棄物の排出抑制(ゴミを減らす)、再資源化の促進(回収・リサイクル)を目的として定められた法律で、その対象品目(12品目)に、クリーニングハンガーや衣類用のポリ包装(カバー)も指定されました。
ここでは、クリーング店のハンガーのリサイクル・回収の取組みと、消費者のへのお願いについてまとめています。

法律策定の背景

海洋プラスチックごみ(海に漂うプラスチックごみは自然には還らないこと)、
気候変動(プラスチックは製造・燃焼工程で温室効果ガスを排出すること)、
諸外国の廃棄物輸入規制強化(外国に輸出していた廃棄物を受け入れてもらえなくなる可能性が出てきたこと)
これらの問題でプラスチック資源を循環する重要性が高まったことを受け、プラスチック廃棄物の削減やリサイクルの取組み(3R (Reduce・Reuse・Recycle) +Renewable)を強化するため、本法律が策定されました。
それぞれの意味
Reduce...ごみを減らす
Reuse...再利用する
Recycle...再生する
Renewable...再生可能な資源に替える

実は、かなり先進的なクリーニング業界!

ハンガー
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<既に実施できていること>
あまり知られていませんが、実はこの法律が施行される前から、クリーニング業界でのハンガー回収率・リユース(再利用)率は50%を超えています。
さらにそのハンガーも、高確率で再生原料を用いて製造されています。
(回収率...約50%、再利用率...約70%、再生原料使用率...約95%)
つまり、プラスチックハンガーにおけるクリーニング業界のプラスチック使用量削減と再生原料の使用率は、先進的モデルであると言えます。


<現時点では不可能なこと>
冬物の重量物や乾燥工程にも耐えうる強度を保つため、これ以上の減量化は今のところ困難と考えられます。

ポリ包装

senta_housou.JPG
<既に実施できていること>
ポリ包装は、年々薄肉化(より薄くする)しています。
衛生・品質維持に必要な程度の強度を保ちつつプラスチックの使用量を削減する製品の開発は、この2000年代に入って飛躍的に進展しました。
更にあと4~5ミクロン程度の薄肉化は、技術的には可能な段階となっています。
 

<現時点では不可能なこと>
再生原料のポリ包装は透明度が低く品物の確認が困難になるため、まだ実現できていません。(研究開発は、継続して進められます。)
再利用については過去に実証実験が行われましたが、回収されたものの多くに異物(ホチキス・セロテープ・汚れなど)の付着が多く非現実的でした。

なお、厚生労働省が定めた「クリーニング業の衛生管理要領」において、衛生及び品質保持(運搬中の汚れ防止)等の観点から「クリーニング後の洗濯物には包装等を行うこと」と明記されているため、「ポリ包装をしない・なくす」ではなく「薄くする」ことでプラスチック使用量を削減しています。
※この点については、関係省庁も承諾しています。

クリーニング店におけるプラスチック削減の取組み事例

ハンガー
➀回収を呼びかけ
すでに約50%の回収率があるとは言え、まだまだハンガーを回収・リサイクルしていることを知らない方もいます。
今後さらに回収率を上げるため、クリーニング店では呼びかけを継続していきます。
 
②積極的に回収する
店頭で回収したハンガーは、洗浄・消毒の上、再利用します。
 
③リサイクルする
回収したハンガーの状態が悪かったり破損したりしているものは再利用ができないため、リサイクル(再生)します。

④再生原料製品を使用する
すでに再生原料を用いて製造されているハンガーですが、様々な代替素材・改良品が開発されています。クリーニング店は、より環境に優しい製品を選択し、使用していきます。
 

ポリ包装
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➀薄肉化製品の使用
もともと開発が進み薄肉化されているポリ包装の開発ですが、プラスチック資源循環促進法が施行されたことでさらにその期待が高まっています。
代替素材・改良品が商品化された際は積極的に取り入れ、切替えを進めます。
 
②集合包装
これまでは1つの商品につき1つの包装が当然でしたが、一客包装(一世帯分のお品物を可能な限り1つにまとめて包装する)や集合包装(数点のお品物を1つにまとめて包装する)の実施を検討します。
例えば、ワイシャツ2枚を1つにまとめて包装するだけで、プラスチック使用量は半減します。
このようにクリーニング店におけるプラスチック削減への取組みにはいくつかの方法がありますが、店舗や規模・設備によって実施している(実施できる)取組みが異なります。
普段利用している店舗がどのような取り組みをしているのかは、スタッフに確認してみましょう。

消費者へのお願い

クリーニング店におけるプラスチック削減には、消費者の協力が欠かせません。
すでにご協力いただいている方も、これから何か始めてみようとお考えの方も、継続できる範囲でのご協力をお願い致します。
ハンガー
➀回収・リサイクルにご協力ください
まず、普段利用しているクリーニング店がハンガーの回収・リサイクルをしているのか確認してください。もし実施していた場合は、積極的に回収へのご協力をお願いします。(当該店舗で使用されていたものに限る)
店舗によっては、ポイント制やデポジット制を取り入れているところもあります。

②分別排出をしてください

一見同じように見えるクリーニング店のハンガーですが、よく見ると形状やサイズが異なります。ハンガーを回収しているクリーニング店でも、自店で使用しているハンガー以外は素材や形状が異なるため回収はできません。
また、破損しているものや異物が付着しているもの、著しく汚れているハンガーも回収対象外です。
 
【回収不可の一例】
回収不可のハンガー例1

回収不可のハンガー例2

回収不可のハンガー例3

※ハンガーの回収・リサイクルを実施しているクリーニング店は多いものの、設備や規模によっては回収していないクリーニング店もあります。(その様なクリーニング店は、回収・リサイクル以外の方法でプラスチック使用量削減に取り組んでいます。)
回収されないハンガーや破損・汚れているハンガーは、お住まいの自治体の分別・収集ルールに沿ってプラスチックごみとして廃棄してください。この法律では自治体に対しても分別されたプラスチック資源ごみの回収を義務付けているので、皆さまの行動が無駄になることはありません。

③最初からハンガーを受け取らない
移動手段が徒歩や自転車・電車の方は現実的ではありませんが、お車でお持ち帰りされている方や集配サービスをご利用の方は、最初からハンガーを受け取らないという選択肢もあります。
クリーニング店で使用されるハンガーは運搬用で、衣類の保管には向きません。運搬に問題がない方は、クリーニング店に相談してみてください。

ポリ包装
➀一点包装から、集合包装へご協力ください
既述の通りポリ包装には、付けないないという選択肢がない、すでに薄肉化が進んでいる、衛生上リサイクルができないという特徴があります。
つまり、消費者にお願いできる最もシンプルな方法が「集合包装」であるといえます。
ハンガー同様、ポリ包装も自宅の保管には不向き(一部、自宅保管に適したポリ包装もあります)です。運搬に問題がなく集合包装が可能な方は、クリーニング店に申し出てください。
※一点包装と集合包装では使用する機械(設備)が異なるため、対応できないクリーニング店もあります。
 

②「プラスチックごみ」として廃棄ください
そのままの再利用が現実的ではないポリ包装ですが、形を変えてまた生まれ変わることはできます。もし燃えるゴミで廃棄している方がいらっしゃる場合は、今日からプラスチックごみとして廃棄をお願いします。
 

※その他のお願い※
ここでは再資源化の促進対象として指定されたハンガーとポリ包装についてまとめましたが、クリーニング店のレジ袋もプラスチック製品です。
ポリ包装と同様 運搬に問題がない方は、レジ袋を受取らない・マイバッグを持ち込む等にも協力をお願いします。

まとめ

プラスチック資源循環促進法は、クリーニング業界のみならず今や国民一人一人の問題です。小さな力でも集まることで大きなムーブメントを起こすことができます。
まずは普段利用しているクリーニング店において、どのような取り組みがなされているのかを確認いただき、できることからのご協力をお願いいたします。
※店舗の設備や規模によって実施している(実施できる)内容が異なります。ご理解をお願い致します。

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