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洗濯を始める前の準備<衣服の生活習慣病を防ぐ③>

家庭で洗濯をする際、洗濯機のスイッチを押す前に1つ工程を挟むだけで、衣服の寿命を延ばすことに繋げられることをご存知でしょうか。
その工程とは、「衣服の性質や洗い方に合わせた洗濯の準備をする」ということです。
ここでは、その準備の具体的事例を紹介します。

洗濯は、小学校で学んでいる。しかし...

日本では小学校の家庭科で洗濯絵表示を含めて洗濯について学びますが、実際にその時の学習を基に日々の洗濯をしている方は少ないと思います。
それは学習時間の短さが影響しているという事もあるかもしれませんが、洗濯機の機能や洗濯洗剤の進化に加え、繊維や衣服のデザインも日々進歩し、洗濯する時の注意点が変わってきていることも関係していると思います。学校で学ぶ基本的な洗濯の方法は今も変わらないものの、義務教育課程で学ぶ内容だけでは生活に応用するのが難しいと言えます。
生活する上で洗濯は誰もが欠かせない家事ですが一般の消費者はきちんと教わる機会が少ないため、充分に理解しないまま必要に迫られてこなしているという方も多いはずです。


洗濯が必要な理由

では、洗濯はなぜ必要なのでしょうか。洗濯が必要な理由は、大きく3つあります。

1つ目は、身体の健康のためです。
汚れた衣服は、細菌やウイルスが繁殖しています。洗濯をしていない衣服を何日も着用することは、その細菌やウイルスを常に持ち歩くということで、体内に吸い込んでしまう可能性もあります。
また衣服は、汚れが原因で衣服が本来持っている保温性や吸水性などの機能が低下します。機能が低下した衣服では、体を温めたり汗を吸ったりすることが出来なくなり、汚れた衣服を何日も着用していては体調管理も難しくなります。
つまり、身体の健康や衛生を保つために洗濯が必要になります。

2つ目は、衣服のためです。
先述の通り、汚れた衣服は保温性や吸水性などの機能が低下します。また、変色や虫食いなどの二次的被害が起きる可能性が高くなります。
こうした状態から衣服を回復させる行為が、洗濯なのです。
汚れで低下した衣服の品質を洗濯によって回復させることにより、衣服を長持ちさせることができます。

3つ目は、社会的マナーや周囲のためです。
衣服に付着した汚れは、いずれ酸化して臭いを放つようになります。
たくさんの人と関わり合う社会生活において、悪臭で周囲を不快にさせないことは最低限のマナーとして必要です。
自分の衣服から臭いが放たれていても、自分ではその臭いに気が付かない場合もあります。
家庭での洗濯の可否にもよりますが、基本的には直接肌に触れた衣服は着用の度に洗濯することが大切です。


洗濯をする前にグループ分けをする

衣服にはグループがあります。そのグループとは、スカートやワイシャツなどのアイテムとしてのグループではなく、一緒に洗濯機に入れて洗うことが出来るグループのことです。
洗濯は、毎回「嫌いな家事ランキング」に入るほど面倒だと感じる方が多い家事です。グループ分けをすることは洗濯機を回す回数が増えてしまう場合があるのでより面倒に感じられてしまうかもしれませんが、複雑な作業はありませんので実践することをおススメします。

グループ分けをした方がいい理由
(1)洗い方や使用する洗剤は、衣服ごと異なる
衣服は素材やデザインによって扱い方(洗い方)が違い、使用するべき洗剤も異なります。洗い方や洗剤が異なる衣服を一緒に洗濯してしまうと、縮みや伸び、毛玉、色落ちなど衣服のダメージに繋がってしまうため、洗い方や使用する洗剤が同じグループに分ける必要があるのです。
グループを意識しないと、着用で低下した衣服の機能を回復させるはずの洗濯が更なるダメージを与えることにもなりかねません。


(2)洗濯機は容量の6割くらいで回すとよい
洗濯機が回るからといって一度にたくさんの衣服を入れていると、きちんと汚れが落ちない可能性があります。
洗濯機は水・もみ作用・ゆすぎで汚れを落としますが、一度にたくさんの衣服を入れてしまうともみ・ゆすぎをする充分な隙間がなくなり、洗浄能力が発揮できない状態になってしまうのです。
洗濯機は、容量の6割程度の洗濯物で回すことが最も洗浄効果を発揮すると言われています。また、一度にたくさんの衣服を洗濯機に入れて回す行為は、衣服の汚れを落としきれないだけでなく洗濯機の故障にも繋がりますので控えましょう。


グループの分け方

洗濯絵表示を確認する
洗濯絵表示は、着用した衣服の左側に取り付けられています。
洗濯絵表示には、家庭での洗濯の可否や洗濯方法が記号で示されています。
※リバーシブルの衣服や着用時に目立たなくする目的で、洗濯絵表示がポケットの中などの目立ちにくい部分に取り付けられていたり、直接衣服に印刷されていることもあります。見当たらない場合は、メーカーに確認しましょう。

基本となる洗濯記号
まずは、この記号に注目します。
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この記号は洗濯機や洗面器を表し、水を用いて洗う時に見る記号です。
家庭での洗濯は水洗いだけなので、家庭での洗濯はこの記号を見てグループを分けます。
下記のフローチャートに沿ってグループを分けると、6つのグループに分けることができます。

flowchart2.png

 
Aグループ:家庭の洗濯機で洗うことができる、色柄の衣服
Bグループ:
家庭の洗濯機で洗うことができる、白もの衣服
数字が入った記号が付いた衣服は、弱アルカリ性洗剤を用いて洗濯機の通常洗浄モードで洗えます。
色柄と白もので分けるのは、白ものへの色移りを防ぐことが目的です。例えば、赤いハンカチと白いTシャツを一緒に洗ってしまうと、白いTシャツがピンクになってしまうことがあります。
記号の数字は洗う時の水温の上限温度を示していて、30~60まであります。
もし同じグループの中に数字の異なる衣服がある場合は、低い方の温度を上限に洗います。
(例:30と40の衣服を一緒に洗う場合は、水温は30度を上限とします。)


Cグループ:季節の衣服で、来シーズンまで保管する為に洗う衣服
例えば夏が終わって衣替えをするとき、次の夏までは一度洗濯してから保管しますよね。その、保管する前に行う洗濯を「しまい洗い」と言います。
家庭洗濯ではしつこい汚れや洗剤成分を完全に落とし切ることができず、衣服には若干の汚れや洗剤成分が残ってしまう場合があります。
例えば"洗って保管した白い衣服の襟元が、次のシーズンに黄変していた..."などはその典型です。
そして残った汚れや洗剤成分は、保管している間に虫くいや変色を引き起こす原因にもなります。
クリーニング店によっては、虫くいや変色を防止する加工ができるお店もあります。例え家庭での洗濯が可能な衣服でも、長期保管の前に行うしまい洗いはクリーニング店に任せた方が安心です。
参考:夏物の「しまい洗い」について


Dグループ:家庭の洗濯機(水)で洗うことができない衣服
この記号は水では洗えず、クリーニング店で溶剤を用いてのみ洗うことができることを意味します。
クリーニング店ではこの洗い方を「ドライクリーニング」と呼びますが、洗濯機のドライコース(いわゆるソフトモード)とは異なります。この記号の衣服を家庭の洗濯機(水)で洗ってしまうと、ふわふわしていたものがゴワゴワになるなどの風合変化や縮みを起こす恐れがあります。この記号の付いた衣服の洗濯は家庭で行わず、クリーニング店に依頼してください。


Eグループ:家庭で洗うことができるが、シミがついている衣服
シミとは突発的及び部分的に付着した汚れを指し、着用時に付着する皮脂汚れなどとは異なります。シミの原因やシミが付いてからの時間によっても異なりますが、基本的にシミは普通の洗濯では落とすことが難しく、シミを落とすためには部分的で特別なアプローチを必要とします。
さらに、この記号がある衣服は洗濯機の「ソフトモード」で洗うことになりますが、ソフトモードは通常の洗浄に比べて、もみ・ゆすぎなどが優しく行われます。つまりこのグループの衣服を家庭の洗濯機で洗っても、シミは落とせないと考えられます。
シミ抜きは「衣服の繊維 × シミの種類」から薬品を選別し、衣服へのダメージが最小限に抑えられる方法を導きだして行われます。家庭洗濯の可否に関わらず、シミはクリーニング店で処理してもらうのが安心です。


Fグループ:家庭用洗濯機のソフトモードで洗える衣服
この記号は、家庭で洗うことができますがA・Bグループを洗う通常洗浄モードとは異なり、ソフトな条件でのみ洗うことが可能な衣服に付けられています。
洗濯機によっては「ドライコース」や「手洗いコース」などと表記されることもあります。表記は洗濯機やメーカーによって異なるので、わからない場合はメーカーに確認しましょう。
このとき、使用する洗剤もA・Bグループとは違い「オシャレ着洗剤」と言われる中性洗剤を使用します。(洗剤の詳細については、別のコラムで紹介します)
ソフトモードがない洗濯機をお使いの場合はクリーニング店に依頼するか、文字通り"手洗い"をして洗います。
手洗いの方法は、押し洗い(オシャレ着洗剤適量を溶かした水に畳んだ衣服を浸し優しく押すようにして洗う)が基本です。

全てのグループに共通していること
洗濯絵表示は6つの基本記号と、強さ・温度・禁止などを表す付加記号を組み合わせて構成されています。A・Bグループの説明で少し触れましたが、基本記号が同じでも数字や強さの指示が異なる場合があるので、記号の意味を正しく理解するようにしましょう。
参考:新しい取扱い絵表示

また、記号で示しきれない注意点が用語で付記されている場合がありますので、付記用語も含めて確認しましょう。

洗濯を始める前の準備 まとめ
  • 健康のため、衣服のため、周囲のために洗濯は大切
  • 衣服のためにも、洗濯機のためにもグループ分けをして洗濯しよう
  • 絵表示を確認する時は、付記用語も忘れずに

※今後「④洗濯洗剤について」を深堀してコラムを掲載する予定です。

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