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クリーニングの出し方<衣服の生活習慣病を防ぐ⑧>

今まで一度もクリーニングを利用したことがない方の中には、「衣服は自宅で洗えるのに、何故クリーニング店を利用しなくてはいけないの?」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。
自宅の洗濯とクリーニングは、何が違うのでしょうか。
ここではクリーニングを利用する意味や価値、賢い利用方法について紹介します。

クリーニングを利用しよう

洗濯絵表示を見て水洗いが出来ない衣服を洗う
衣服に縫い付けられている洗濯絵表示を確認すると、「水洗いはできない」という意味の絵表示が印字されているケースがあります。
これは、衣服のメーカーから「自宅で洗わないでください」というメッセージです。家庭では水洗いしかできないうえ専門的な設備も整っていないことから、洗濯のプロであるクリーニング店へ依頼するようメーカーは洗濯絵表示を用いてユーザーへ伝えています。では、クリーニング店でどのように洗っているのかと言うと、「ドライクリーニング」という、水を使用しない洗濯方法で洗濯しています。
ウール素材のニット製品や付属品が付いた衣服に付けられている事が多いのですが、稀に普通のTシャツなどでも水洗い不可の表示をメーカーが指示していることがあります。クリーニング店へ出すべきか自宅で洗えるかは、洗濯絵表示を確認することで判断できます。
クリーニングでしか落とせない汚れがある
衣服に付着する汚れは水溶性汚れ・油溶性汚れ・不溶性汚れの3種類に分けられます。衣服には、そ目に見えるものも目に見えないものも含め、のような汚れが様々な箇所に付着しています。
自宅できちんと洗濯しているのに「気が付いたら襟元が黄色く変色していた...タオルも洗っているのに黒ずんできた...」なんて経験はありませんか?これは、洗剤を用いて洗濯をしても「汚れや洗濯カス」が残っているからなのです。
クリーニング店では、このような「汚れ残り」が起きないよう、しっかりと洗い上げるノウハウがあります。
(参考:汚れの種類
洗濯代行として、クリーニングを利用する
共働き家庭が増える中、家事に費やす時間を短縮したい方が増えています。そんな時、洗濯代行としてクリーニングを利用するのも良い方法です。
洗濯代行としてクリーニングを利用するメリットは、時間と手間の節約だけではありません。例えば「ほぼ毎日着用する」という方も多いであろうスーツやワイシャツの場合、自宅で洗える商品が開発されているとはいえ、型崩れのリスク・仕上げの大変さ・乾燥までの時間などの課題を解決することができますし、家庭洗濯では落ち切らない汚れや洗剤カスが原因で起こる襟袖の黄変を防ぐこともできます。
(参考:洗濯代行としてのクリーニングサービス

クリーニング店の選び方

クリーニング店はどこも同じではありません。距離や価格、営業時間などで選ばれる方が多いと思いますが、受付時にしっかりとスタッフが衣服の状態を確認したり、知識や技術力のあるスタッフが丁寧に対応してくれるうえ仕上がり品質に満足できるかなど、自分にとって何を優先すべきかを考慮してお店を選ぶようにしましょう。
また、利用したいクリーニング店が遠い場合は、集配や宅配を受けてくれるお店もありますのでお店に相談してみましょう。
(参考:クリーニング店の選び方

クリーニングに出すタイミング

クリーニングに出すタイミングは日常と衣替え期と大きく2つに分けることが出来ます。
日常のタイミング
シミや汚れが付いてしまった時
シミや汚れが付いてしまった時は、素材に関わらず可能な限り何もせずに少しでも早くクリーニング店に依頼しましょう。ウェットティッシュなどで擦ってしまう方もいますが、その行為がシミを抜けにくくしたり、衣服を損傷させたりする可能性もあります。

 
中間洗い
自宅で洗えない、ドライクリーニング対象品の場合、毎回毎回クリーニングに出すのは難しいと思います。着用回数にもよりますが、例えば毎日着るアウターなどは相当汚れが蓄積されています。冬季シーズンの中間(1月下旬~2月頃)あたりに一度クリーニングに出すと良いでしょう。その為にもアウターは最低でも2着用意しておくと安心です。
(参考:中間洗いのススメ

日々の時間と手間の節約
クリーニングは特別な時に出すものではなく、日々の時間や手間を節約する意味でも利用していただくことができます。
クリーニング店によっては集配もしているお店もありますので、その場合は持込み・受取りのために店舗に出向く必要もなくなります。

衣替えのタイミング

シーズンが終わった時
たとえ、目に見えなくても直接肌に触れなくても、汚れは着用の度に衣服に蓄積されます。その汚れが付いたまま保管してしまうと、ニオイが出たり虫食いなどの被害が出たりして、衣服の寿命を縮める場合があります。
そのため、衣服のシーズンが終わる時にはクリーニングに出し、汚れを完全に落としてから保管することが大切です。
これは自宅で洗える衣服も同じです。自宅で洗える衣服は洗う回数が多いが故に洗濯洗剤のカスなどが残りやすいのです。

クリーニングに出さずに保管していた衣服
もし昨シーズンにクリーニングに出し忘れたまま保管していた場合、環境によっては衣服が湿気を含んだり残った汚れが顕在化したりする可能性があります。
当然ですが、そのまま着用すると衣服が持つ機能性(保温・冷感など)を充分に発揮できなくなる他、衣服の寿命を縮めることにも繋がります。

クリーニングに出す前に確認したいこと

クリーニングを初めて利用する方も、今まで何度も利用してきた方も是非確認して頂きたい事項です。

お店のルールを確認する
クリーニング店は、お店によってルールが異なります。
例えば、万が一クリーニング事故が起きた場合の補償、引き取り期限の有無、苦情の受付期間などが挙げられます。
店舗によっては、「引渡し予定日(引き取り)から〇日経過した品物の苦情はお受けしません」とルール付けしている店舗もあり、その場合は指定された日にち以内に申し出ないと対応してもらえない可能性もあります。
つまり「何かあった時にどうするのか、どうなるのか」ということを、利用者が事前に知った上で利用するということが重要なポイントです。
ポケットの中は空になっているか
クリーニング店でも洗う前には確認しますが、ご自分でポケットの中を確認することは、ポケットに残っているものの破損や紛失を防ぐという観点とクリーニング事故を防ぐという観点、そしてプライバシーの観点からとても重要です。
近年はハンカチ・ティッシュ・マスクなどが入っていることも多いため、クリーニング店店員の感染予防という意味でも大切です。
コートのベルトやリボンなど、脱着可能な付属品が揃っているか
コートのベルト・ブラウスのリボンなどの付属品は、衣服から外してしまうとどの衣服の付属品かわからなくなってしまう恐れがあります。
もちろん付属品の紛失対策はクリーニング店が実施しますが、品物を預かった時点ではその付属品が脱着可能であることに気づけない場合もあります。
そのため「これは付属品は、脱着が可能です」と申告していただくことで、より一層紛失のリスクを低下させることができると言えます。
スーツやアンサンブルは、セットでクリーニングに出す
スーツやアンサンブルは、別の衣服と合わせることでコーディネートの幅が広がります。
しかし、どんな衣服でも着用や洗濯の度に少しずつ風合や色味が変わります。例えばスーツのジャケットだけを頻繁に着用してクリーニングに出していた場合、単品で見ると気が付かない程度でも、久しぶりに上下セットで着用して違和感に気づくというケースもあります。
そのため、スーツやアンサンブルは、なるべくセットで着用&セットでクリーニングに出すことが賢明です。
特別な事情がある場合
例えばシミが付いてしまった場合、シミの種類やシミを付けてしまった時期などの情報は、シミを抜き処理時の材料になります。
また特殊な素材や年代ものの商品などは、その価値を理解しより慎重に取り扱ってもらうことで破損や事故を未然に防ぐことに繋げます。
嘔吐物や排泄物が付着した衣服は、消毒が必要
嘔吐物や排泄物が付着した衣服は、法律により「クリーニング又は洗濯の前には必ず消毒をしなければならない」と定められていますが、一般的なクリーニング店(いわゆる町のクリーニング屋さん)のほとんどは消毒設備を持たないため、受付けてくれるクリーニング店は皆無に等しいと言えます。
そのため衣服に嘔吐物や排泄物が付着してしまった場合には、ご自分で消毒をした上でクリーニングを依頼することになります。
(参考:嘔吐物のクリーニングについて

品物を受け取る時に確認したいこと

自分が出した品物であるかを確認する
意外に思われるかもしれませんが、稀に、品物の受取時に誤って他の衣服を渡されてしまうことがあります。
取り違えはもちろんクリーニング店の責任ですが、特に礼服やコートはデザインが似ていることに加え着用回数やシーズンが限られているため、すぐに気づきにくいという事情もありご自分の衣服が戻ってこないこともあります。
店員が持って来た衣服をそのまま受け取るのではなく、店頭でご自身がきちんと確認するようにしましょう。
伝えたシミは落ちてるか?破損などがないか?など店頭で確認する
衣服は、適さない環境下で保管したり雑に扱ったりすることで変色や破損を起こす場合があります。引取り後数日経過して衣服を着ようと思った時に変色や破損を見つけても、それがいつどの様にしてついたものなのかを証明するのは大変困難です。
特に季節ものの衣服の場合、次回の着用は1年後という場合もあり、1年前のご自分やクリーニング店の記憶を遡ることは不可能と言えます。
そこでクリーニングが済んだ衣服は引き取る時に店員と両者で確認し、何か気づいた場合にはその場で申し出ることが重要になります。
付属品が揃っているか確認する
付属品の確認は、当然受取る時にも必要です。しかしここで大切なのは、これがクリーニングに出す前に確認していることが前提であるということです。
「出す時に付いていた付属品が、受取る時にも付いている」ということをクリーニング店の店員と共に確認するようにしましょう。

まとめ

商品を買ったり借りたりするサービスと違い、クリーニングはご自身の持ち物(財産)を預けるサービスです。
つまり、品物を出す時・受け取る時に店員と両者で行う確認(カウンターチェック)を丁寧に実施する店舗は「お客様の財産を預かっている」という認識を持つ良いクリーニング店と言えますので、クリーニング店を探す際は「カウンターチェックをしっかりするお店」を選んで利用してください。
またカウンターチェックは、店頭でなく集配を利用した時にも忘れずに実施しましょう。
ご自分の財産を大切に扱ってくれるお店で、適切なタイミングでクリーニングに出し、衣服を長く楽しみましょう。
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